空気のおかげ 5月8日

 空気       まど・みちお

ぼくの 胸の中に
いま 入ってきたのは
いままで ママの胸の中にいた空気
そしてぼくが いま吐(は)いた空気は
もう パパの胸の中に 入っていく

同じ家に 住んでおれば
いや 同じ国に住んでおれば
いやいや 同じ地球に住んでおれば
いつかは
同じ空気が 入れかわるのだ 
ありとあらゆる 生き物の胸の中を

きのう 庭のアリの胸の中にいた空気が
いま 妹の胸の中に 入っていく 
空気はびっくりぎょうてんしているか?
なんの 同じ空気が ついこの間は南氷洋の 
クジラの胸の中に いたのだ

5月
ぼくの心が いま
すきとおりそうに 清々(すがすが)しいのは
見わたす青葉たちの 吐く空気が
ぼくらに入り
ぼくらを内側から
緑にそめあげてくれているのだ

一つの体を めぐる
血の せせらぎのように
胸から 胸へ
一つの地球をめぐる空気のせせらぎ!
それは うたっているのか
忘れないで 忘れないで…と
すべての生き物が兄弟であることを…と

5月になると必ず読みたくなる詩です。

11日から「全国交通安全運動」が始まりますが、交通安全について取り上げた『学校だより第2号』を本日発行しました。「学校だより」→「平成31年度2号」からご覧ください。